〜福知山市・北陵地域の乗合タクシー制度をめぐって〜
2025年4月1日、福知山線(丹後海陸交通)の路線が廃止されました。 その代替として導入されたのが、福知山市北陵地域の「乗合タクシー」制度です。
しかし、その中身に目を通すと、どうしても疑問や違和感が残ります。
■ 案内は運行当日、でも予約は2日前まで? 制度の案内PDFが市のホームページに掲載されたのが運行開始当日(4月1日)。 しかも、タクシーの利用には2日前までに予約が必要という矛盾…。 市外や別地域の住民にとっては完全に情報が届かない仕組みです。 👉 https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/uploaded/life/73677_124211_misc.pdf
■ 通勤や日常使いに適さない運行時間
- 市街地から北陵地域へ向かう朝の便はなし
- 北陵から市街地へ向かう最終便は17時(夕方5時)
これではフルタイム勤務に通う人が使える交通手段とは到底言えません。
■ 京丹後市とのシステム差が鮮明 京丹後市では、乗合タクシーの利便性が飛躍的に高まっています。
- スマホアプリで予約可能
- 最短1時間前まで予約OK
- 運賃は大人400円/子ども料金あり 👉 https://travel.willer.co.jp/maas/autonomousdriving-kyotango/
一方で福知山市は…
- 電話予約のみ
- 受付は平日公民館(火曜は休館)
- 予約は2日前まで
同じ“公共交通”を名乗っていても、利便性には大きな差があります。 この違いは、「暮らせるかどうか」の分かれ目になりかねません。
■ 改善点は「自宅まで迎えに来る」だけ? よくなった点として「自宅まで来てくれる」という声もあります。 でもそれは、福祉バスなら当たり前のこと。 手間と不便を増やして得られる“改善”と言えるのでしょうか。
■ 天秤にかけられている違和感 「歩いてバス停まで行く」か、「予約して家に来てもらう」か。 どちらも不便なのに、まるで選べるように見せかけられている。 そんな“仕組まれた天秤”に、私たちは乗せられていないでしょうか?
■ あまりに練られていない制度設計 今回の制度は、十分に練られた制度設計とは言い難いように感じます。
- 利用者への情報提供の時期
- 利用者目線の時間設定
- 利用手段の柔軟性
- 移住・定住政策など地域振興との整合性
すべてにおいて、もっと課題があるのではないかと思えてなりません。
■ それでも地域は静かです。なぜ? こうした大きな制度変更があっても、福知山市内は静かです。 地域の中もほとんど声が上がりません。 おそらく、「今は自家用車があるから不便じゃない」という理由なのでしょう。
でも、交通は「そのとき必要になってから声を上げても遅い」ものです。 高齢になったとき、免許を返納したとき、家族の送り迎えが難しくなったとき。 そのとき、選択肢がなかったら?
“その日”のために今、考えておかなければいけないのではないでしょうか。
■ 声を上げる前に、そもそもの“設計”に不安があります 制度に対して声を上げる前に、私が本当に心配しているのは、 福知山市がこの制度をどこまで深く考えて設計したのかという点です。
- 現場の暮らしの時間に合っているか
- 通勤・通学・通院の導線を反映しているか
- 住民の“これから”の暮らしに希望をもてる制度なのか
行政はこの制度を「自分ごと」として深掘りしてくれたのか。そこが心配なのです。 形だけの代替交通で終わらせては、地域の未来も人の暮らしも空洞になってしまうのではないかと感じています。
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