
今年も、雲原の秋祭りがにぎやかに行われました。
由緒ある神輿や伝統の弓射、宮当番の交代など、地域の絆を改めて感じる一日となりました。

午前の部
🏮 神輿飾りつけ(午前8時〜/公民館前広場)
🌀 毎年恒例!どっちが前問題
神輿の前後をどちらにするか――毎年のように起こる「どっちが前問題」。
今年も例にもれず勃発しました。
手がかりを探していると、なんと神輿の内側に「前」と書いてあるのを発見!
この数十年間、もしかすると適当に乗せていたのかもしれないと思うと、中におられる神様はどう感じておられたのか……。想像すると少し背筋が伸びます。

🏔 八坂神社から伝わる神輿の昔ばなし
この神輿は大昔、八坂神社からやってきた由緒ある神輿と伝えられています。
むかしむかし、まだトラックもない時代のこと。
京都から分解して運んできたそうで、坂浦峠を越えるときは、地域の人たちが担いでお宮さんまで奉納したとか。「ほんまかどうかは知らんけどなぁ」と、今も語り継がれています。
いずれにしても、地域に伝わる大切な宝であることは間違いありません。
昭和56年にお神輿を修復したときの記録ビデオで40年以上も前のビデオを見る(全部)
昭和56年10月10日 雲原秋祭り(35分その1)
最初 祭り復興の概要説明
1分26秒 金銀的の的入り
5分00秒 神輿巡行の説明
7分45秒 当わたしの儀(当番の引継式)
15分00秒 しめ縄やお飾りなどの様子
18分52秒 お神輿の説明
23分20秒 笛太鼓の説明
23分34秒 笛太鼓の練習の説明
24分30秒 笛太鼓の奉納(公民館前)
29分10秒 お神輿の巡行スタート

🎯 金的・銀的の弓射(午前8時30分〜)
🏹 新調された弓矢で挑む!
今年は新調された弓矢で挑戦。
しかし、やはり「道具ではない」と痛感。的に当てるのは一筋縄ではいきません。
何度かの挑戦の末、ついに
金的:浅井正規さん
銀的:鎌田誠(私)
が見事(なんとか)に射抜き、境内には大きな歓声が上がりました。
この一矢で、祭りの儀式がスタートします。

👏 当渡しの儀(午前9時〜)
🕊 宮当番の引き継ぎ
神事の後、上番(西石区)から下番(久保・小杉野区)へ当番が引き継がれました。
引き継ぎ事項の伝達、決意表明、宮総代の挨拶など、厳粛な雰囲気の中で執り行われました。

✨ 御霊移し(午前9時30分〜)
👘 神様をお神輿へ
公民館に移動し、前日に準備した神輿に神様をお乗せする「御霊移し」の儀式を実施。
いよいよ午後の神輿巡行に向けて準備が整いました。

午後の部(神輿巡行・笛太鼓奉納)
🍡 「御供(ごくう)」の配布
祭りの午前の神事を終えると、氏子の各家庭には「御供(ごくう)」と呼ばれるお餅が配られます。
これは神前に供えたお下がりで、神様の恵みを地域で分かち合う大切な風習です。
配布は役員さんが一軒ずつ回って行い、この準備も当番区の重要な仕事のひとつ。
手渡される小さなお餅には、一年の無病息災と感謝の祈りが込められています。

🎐 午後1時ごろ 水車広場集合
🥁 奉納演奏と出発前の儀式
笛や太鼓の奉納が行われ、続いて巡行に先立ち自治会長のご挨拶。
その後、神輿担ぎ手代表の合図でスタートしましました。
代表を務めるのは、毎年の習わしとして「やまぶきの会」代表。
今年は金的も射止めた浅井正規さんがその大役を担い、
力強い掛け声とともに神輿が動き出しました。
地域の皆さんもたくさん見守られる中、いよいよ雲原のまちなかを神社まで巡る勇壮な巡行が始まりました。

💪 午後1時30分〜 神輿巡行(公民館前出発)
🚶♂️ 神輿の道のりと笛太鼓の響き
白い法被姿の担ぎ手たちが「わっしょい!」の掛け声とともに出発。
この「わっしょい」は、“和を背負う”=みんなで力を合わせようという意味があります。
神輿はゆっくりとまちなかを進み、途中,郵便局前、神社の坂を上がる最初の鳥居前(櫂作さん宅前スペース)そして、参道の中腹――雲原の集落を見渡せる丘の上では、子どもたちによる笛太鼓の披露が行われました。
この笛太鼓には小学校1年生から参加できることになっており、今年も新しく1人の子どもがデビューを果たしました。地域の伝統を次世代へとつなぐ、温かい光景です。
やがて坂や難所に差し掛かると、掛け声は一気に変わります。

「よーいや さーじゃー!」
――それは、坂道や疲れが見え始めた時に響く、“ファイト1発”の魔法の言葉。
すべての担ぎ手、ロープで引っ張る人たち、笛太鼓の人たちなど、参列するすべての部隊が心と力をひとつにする瞬間です。
坂道に差しかかると、声が一段と大きくなり、息を合わせながらゆっくりと神輿を押し上げていく姿に、見守る人々からも拍手が送られました。
※掛け声にはそれぞれ意味があります。意味も知らずに声を出すのではなく、一つひとつの言葉に心を込めて担ぐことが、本当の“祭り”の姿ではないでしょうか。

⛩ 午後3時 御霊戻し
🙏 宮総代長の言葉と締めくくり
神輿が境内に戻り、神様を社殿へお戻しする「御霊戻し」の儀式が行われました。
数年前から、この御霊戻しを地元で執り行うことになったようで、宮総代の長老が中心となり、儀式の作法にのっとって厳かに実施されました。

そして、3年の宮総代任期を満了される中垣浩男宮総代長が挨拶に立たれ、これまでの労をねぎらうとともに、地域の繁栄と安全を祈る言葉で締めくくられました。

その後、境内では再び笛太鼓の奉納演奏が響き渡り、太鼓の音が山々にこだまする中、秋の夕暮れがゆっくりと雲原の空を染めていきます。
その音は、神様への感謝と、また来年も無事に迎えられるようにという祈りの調べ。
拍手と笑顔に包まれながら、全行程が無事終了しました。


☕ ふれあいサロン(公民館にて)
🍵 労をねぎらうあたたかい時間
祭りの締めくくりは、公民館でのふれあいサロン。
準備は、雲原公民館・雲原福祉推進協議会・有志の皆さんによって、朝から別部隊として手際よく進められていました。
会場には、できたての特製うどんの湯気が立ちのぼり、香ばしいたこ焼きのにおい。
ほくほくとした炊き込みご飯のおにぎりやウインナーなど、心のこもった手づくりメニューが並びました。
さらに、子どもたちには縁日のようなコーナーも設けられ、笑い声が絶えません。
地域の大人たちが優しく見守る中、笛太鼓の子どもたちも嬉しそうに輪に加わっていました。
🍶 新しい形のふるまい
今回からの特徴として、道中ではアルコール類を控えることになり、出発時のお神酒を除き、巡行中はお茶やジュースのみでの行動となりました。
そのぶん、最後のふれあい広場ではビールやお酒も振る舞われ、一気に笑顔と歓声が広がります。
真剣に担いだ分、最後は心ゆくまで語り合い、笑い合う。
その切り替えこそが、今の雲原らしい“節度とにぎわいの祭り”の姿です。
また、今回の祭りには雲原ファミリーの皆さんにも参加いただき、地域の方々と一緒に会場を盛り上げてくださいました。
そのあたたかい交流が、祭りの楽しさをいっそう引き立てていました。
このあと素敵なサプライズがーー超ビッグな嬉しいニュースが発表されました。

🎊 サプライズ婚発表!
ゆったりとした時間が流れていたその時――
会場に最大級のサプライズが訪れました。
マイクを手にした浅井正規さんが、少し照れくさそうに一言。
「私たち、結婚しました!」
一瞬の静寂のあと、会場中から「えぇーーっ!!」という驚きの声。
そしてすぐに「おめでとう!!」の大歓声が響き渡りました。
浅井さんは今年、神輿のリーダーを務め、「金的」を射抜いた人。
なんと“恋”まで射止めていたことをこの場で公表。
お相手は、京都から雲原へ通い、畑をされている女性でした。
普段から月例のサロンやドラム缶転がしレース(ドラコロ)の運営、
その環境整備や交流会にも参加してくださっている方。
さすがドラコロの魚つかみ担当の浅井さん、
水面下では静かに“人生の大仕事”を進めておられたようです。
しかし、ほとんどの人が「まったく知らなかった」と口をそろえるほどの電撃発表。
驚きと歓声の入り混じる中、自治会長の音頭で乾杯が行われ、ケーキ入刀式も登場!
一時はまるで“緊急記者会見”のような賑わいとなりました。
笑いと拍手、そして温かい祝福の言葉に包まれながら――
みんなの願いはただひとつ。
末永くお幸せに。
今年の雲原の秋祭りは、
伝統の継承と新しい慶びが重なった特別な一日となりました。
笑いと驚き、そして絆が詰まったこの日を胸に――
また来年、みんなで元気に「わっしょい!」と声を合わせましょう。
掛け声の意味を理解しながら、神輿の前後も間違えず、
そして、また良い報告ができることを祈念しつつ。
少しずつ、前へ進みましょう。
そして来年は、もう少し弓の練習をして。
私は銀的を射止めた。
ふふふっ――何を射止めるやろか。🏹
「動けば変わる。動かなければ何も始まらない。」
――野村克也
両丹日日新聞から(他地域のまつり) どこの地域も色々と工夫しながら歴史と伝統をつないでおられますね。









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